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ミラノ・スカラ座 「ワルキューレ」 [ワーグナー]

ジークムント/サイモン・オニール
フンディング/ジョン・トムリンソン
ヴォータン/ヴィタリー・コワリョフ
ジークリンデ/ヴァルトラウト・マイヤー
フリッカ/エカテリーナ・グバノヴァ
ブリュンヒルデ/ニナ・シュテンメ
ゲルヒルデ/ダニエレ・ハルブヴァンクス
オルトリンデ/カローラ・ヘーン、ほか
ミラノ・スカラ座管弦楽団
ダニエル・バレンボイム(指揮)
演出:ギー・カシアス

5人の指揮者の「ワルキューレ」の中でメータ指揮/バイエルン国立歌劇場管弦楽団でのワルトラウト・マイヤーのジークリンデが良かったので他を検索するとダニエル・バレンボイム指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団「ワルキューレ」のジークリンデ役で出演していた。
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BSプレミアムで放送された「ラインの黄金」「ジークフリート」「神々の黄昏」は鑑賞したが「ワルキューレ」は今更購入してまで見たいとは思っていなかったが(^^;
静止画だけで動画が無い2002年のメータ指揮から8年後バレンボイム指揮でのワルトラウト・マイヤーの演技がどういうものなのか興味が湧いてきた。
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国内版は高価なので字幕は無いが安い輸入版を入手。
DVD-Audio 5.0chのメータ指揮とBle-ray 5.1chのバレンボイム指揮での聞き比べ。
音質的にはDVD-Audioのがやはり良い。

ジークムント役のサイモン・オニールはハリのある声でなかなか良い。
8年の差のワルトラウト・マイヤーの声はある程度仕方がないが歌と共に演技が素晴らしい。
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やはりオペラというものは劇であり映像があって初めて成り立つ。最近歌だけの上演もあるようだが、大きな身振り、立ち回りの演技があってこそ感情が歌に出てくると思う。
たとえ映像が無くてもそういった録音は音声だけでも気配が分かる。
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舞台で動きながら演じないならアニメ化して上映し声優として歌ってもらった方がルックス的には良いと思うんだが(笑)

録音の差もあるので一概に決めつけられないが、好みはメータ指揮のワルトラウト・マイヤーかな。
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第二幕の前奏曲から冒頭の迫力がありヴィタリー・コワリョフ(ヴォータン)、ニナ・シュテンメのブリュンヒルデの歌はメータ指揮のジョン・トムリンソン(ヴォータン)、ガブリエーレ・シュナウト(ブリュンヒルデ)よりも若々しく堂々として良かった。

ワイマール版やMETでの冒頭父娘がいちゃつくようなシーンでは無くちゃんと威厳を持った展開と質素だが上手い演出は十分納得できる。


バレンシアでのフリッカ役はあまり好きでない。声がヒステリックでだんだんうるさくなり聴いていて苦痛になってくる。
キンキンしたヒステリックな声にならずに聴き入らせる歌唱力。
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フリッカ役のエカテリーナ・グバノヴァの冷静にヴォータンを追い詰める歌い回しは飽きずに聴き入ってしまう。
これを聴いてしまうとメータ指揮での藤村実穂子は分が悪い。


第三幕のワルキューレの8人の姉妹はバラバラでヒステリックなハーモニーがうるさい。
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ここにきてニナ・シュテンメの声も他のワルキューレ姉妹の声と区別がつきにくく全体が騒がしく聞こえてしまう。
唯一ワルトラウト・マイヤーの歌と演技で救われてるが....

一番の原因はバレンボイムの演奏のテンポが速すぎる?
俳優の演技が追い付かない場面があり観客が余韻に浸る暇も無く進行してしまう。
それが更に慌ただしくし感じさせているようだ。
これ以降も最後までなんとなく落ち着いて聴けない(^^;

第三幕はメータ指揮/バイエルン国立歌劇場管弦楽団のが聴きごたえがある。
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最後に第三幕をバレンシア版で鑑賞
バイエルン版より更に良い。
やはりワルキューレの8人の姉妹のハーモニー、歌のレベルもスケールも違う!
7.1chとなり臨場感はさらにアップし録音も素晴らしい。

オペラ鑑賞はマルチチャンネルのが絶対有利だなー。

ダニエル・バレンボイム指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団での「ワルキューレ」を鑑賞しての感想は、当初ワイマール版で感じた演出の違和感も無くMETより格段に上の内容に、先にこれの日本語版を買っておけばある程度は満足していたと思う。
日本語字幕のないバレンシア・リングを観ることもなく、ここまで「ニーベルングの指環」に嵌らなかったかもしれない(笑)

取りあえずこれでミラノ・スカラ座「ニーベルングの指環」も全編鑑賞できた。

「ワルキューレ」だけなら8人の指揮者の9作品を鑑賞したことになる。

もういいかな(笑)



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