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5人の指揮者の「ワルキューレ」ACTⅠ [ワーグナー]

前奏曲が終わり物語が始まると其々の役者の歌声と演奏との録音バランスが評価を変える。
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自分にとってジークムントの評価基準は
「父が約束した窮地に立った時に手に入るという剣はどこにあるのだ」と歌うシーン

バレンシア・リングでのペーター・ザイフェルトの歌声は「ヴェルゼ、ヴェルゼ」と二回歌う声量はまさにミュージカル俳優とは次元、格が違うのだよという位のインパクトがあった。

ただこれは7.1chサラウンドと映像による相乗効果もあったようでステレオ盤になると同じペーター・ザイフェルトでもその感動は半減してしまう。

名盤と呼ばれるショルティ指揮だがオーケストラとしての録音は素晴らしいが歌が始まると一気にその評価は下がる。
他のソフトに比べオーケストラの録音は良いのに役者の声が篭る様に聴こえ歌が前面に出てこない。
ショルティとベーム版ではジェームズ・キングがジークムントを演じているが始めは同一人物とは思えなかった位である。

ショルティ指揮ではジェームズ・キングをあまり評価しなかったが、ベーム指揮を聴いて見直した。
ベーム版はオーケストラと役者の歌とのバランスが良く物語が歌で展開していく。
これがショルティ版になるとオーケストラの演奏をメインに録音し過ぎて歌声とのバランスを崩している(^^;


ジークリンデはショルティ指揮のレジーヌ・クレスパンの優しく美しい歌声が魅力的だが...
最近キャラクター的に優しすぎる声ではないか?とも思ってきた(^^;
メータ指揮でのワルトラウト・マイヤーのジークリンデもなかなか良かった。

第一幕の最大の見せ場ジークリンデがジークムントと命名しトネリコの木から剣(ノートゥング)を引き抜き二人で未来を切り開いていく決意をするシーン。

一番盛り上がるシーンである程度スピード感が欲しい所でカラヤン指揮は重厚感を出すためか逆にテンポを落とし他よりもゆったりとした演奏をする。
だが自分にはこれはどうしても納得できない(-_-;

その他カラヤン指揮で感じたことは
各自が上手い演奏、上手い歌い方を優先しているようでジークムント、ジークリンデの穏やかで綺麗な歌い方では上品すぎて自分の思い描く情景と一致しない。
中盤の展開なんかオーディオ的には他と比べても悪くはないんだが前奏曲と第一幕最後の演奏表現が自分的には受け入れられず評価を下げている。

ショルティ指揮もどちらかというと演技よりも歌を上手く唄う事を優先している感じがする。
これはベーム指揮と聴き比べるとハッキリわかる。
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ベーム指揮は演技しながら歌っていることがわかり情景が浮かぶ良い録音で躍動感もあり試聴中も物語にどんどん入り込んで聴き入ってしまう。

カイベルト指揮は演奏と歌のバランスもよく無難にまとまっている。
メータ指揮は映像があるバレンシア・リングに比べステレオでは盛り上がりに欠けるが録音が新しい分有利だ。

ACT Ⅰ 本編の好みは
メータ>ベーム>カイベルト>ショルティ>カラヤン



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